避難指示解除を前に、市の委託で雑草に覆われた農地の刈り取り作業をする農家。一度は表土を削り取って除染したが、雑草はすぐ伸びる。作付けの予定はないが、荒廃を防ぐため、半年ごとに除草を続けている=7日午前、福島県南相馬市小高区、福留庸友撮影
東京電力福島第一原発事故で福島県南相馬市に出ている避難指示が12日、解除される。解除は6例目で、対象者は1万人を超え過去最多。だが、実際に帰還する住民は少ないとみられる。雇用創出で政府はロボット研究などの産業拠点を整備する計画だが、被災者の賠償や生活支援は徐々に打ち切られていく。
5日、避難指示区域にあるJR小高駅周辺は、地震や津波で壊れた家を帰還に備えて修繕する作業の音が響いていた。一足早く営業を再開したラーメン店には行列が出来ていた。だが、山間部に近づくと除染土を入れた袋が山積みになっていた。
原発事故で南相馬市は福島第一原発から20キロ圏内の市南部の小高区全域と原町区の一部に国の避難指示が出た。事故前約7万1500人の人口が、15年の国勢調査では除染作業員なども含めて約5万8千人に減った。市などによると、事故直後は避難指示区域外の自主避難者も含めて約6万人に上り、現在も1万7千人超が避難する。
今回、避難指示の解除対象は3…