見つかった「梁塵秘抄」口伝集「巻11」の写本
後白河法皇(1127~92)が平安時代の流行歌などを集めた歌謡集「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」のうち、歌い方などを解説した「口伝(くでん)集」の巻11の江戸期の写本が見つかった。「梁塵秘抄」の写本は一部しか残っていないうえ、天理大付属天理図書館(奈良県天理市)が所蔵する同巻の写本とは異なる記述もあり、専門家は「古典文学研究に貴重な資料」とみている。
見つかった写本は縦約27センチ、横約20センチの和紙17ページに墨筆で記されている。奥書に「宗淵(そうえん)僧都(そうず)自筆也 大原勝林院秀雄大僧都所蔵」などとあり、声明(しょうみょう)道場として知られる京都・大原勝林院に江戸時代に在籍した僧侶らの名が記されている。今春、東京の古書業者が古書市で入手した。
「梁塵秘抄」は平安後期の世相や庶民の感情、風俗が反映され、「遊びをせんとや生(うま)れけむ 戯(たはぶ)れせんとや生れけん」などの一節が有名。歌謡を記した「本編」10巻と、今様(いまよう)や催馬楽(さいばら)といった各ジャンルの起源などをつづった「口伝集」10巻は、後白河法皇が編んだとされる。法皇の直筆も交じるが、ほとんどが写本で、しかも3割以下しか現存しない。一部は重要文化財に指定されている。
「口伝集」をめぐっては、明治…