8日のニューヨーク外国為替市場は、米国の6月の雇用統計の結果が改善し、景気の先行きへの安心感が出て発表直後は円安となったが、その後急速に円高が進行。2週間ぶりに一時1ドル=99円台をつけた。株式市場では、大企業で構成するダウ工業株平均が大幅に上昇した。終値は、英国の欧州連合(EU)離脱決定前の水準を上回り、昨年5月下旬以来約1年1カ月ぶりの高値となった。
米国時間8日朝発表の6月の雇用統計は、就業者数の伸びが28万7千人と市場予想を大幅に上回った。円相場は一時1ドル=101円台前半の円安水準になったが、英EU離脱決定の影響で米国の利上げが先送りされるとの見方から、一転して円高となり、一時1ドル=99円99銭近辺をつけた。同日午後5時時点は、前日同時刻より10銭円高ドル安の1ドル=100円55~65銭。
雇用統計の改善は景気の先行き不安をいったんやわらげたが、英EU離脱決定の悪影響への不安感は根強く、円相場は乱高下した。
雇用統計の内容を好感し、ダウ平均は大幅に値上がりした。終値は前日より250・86ドル(1・40%)高い1万8146・74ドルで、英EU離脱決定後に大きく下げた分を取り戻した形になった。ハイテク株が中心のナスダック市場の総合指数は、79・95ポイント(1・64%)高い4956・76で取引を終えた。(ワシントン=五十嵐大介)