夕食時、リオ五輪代表の渡利璃穏選手(左)に声をかける前田寿美枝さん
ブラジルで8月5日に開幕するリオデジャネイロ五輪で活躍が期待される愛知ゆかりの選手たち。その陰には、必ず「支える人」がいる。
特集:リオオリンピック2016
■女子レスリング、日々のおかず考慮
リオデジャネイロ五輪で、女子レスリングの全6階級の代表が輩出した至学館大(愛知県大府市)。活躍の陰には、選手から母のように慕われるレスリング部の寮母、前田寿美枝(すみえ)さん(57)の支えがある。
前田さんの朝は早い。朝5時から部員ら30人分の朝食を作り、特売品を求めてスーパーをはしご。その合間に治療に行く選手の送り迎えをこなし、夕食の準備をして帰宅するのは夜9時過ぎになる。
4年生の69キロ級・土性沙羅(どしょうさら)選手(21)と63キロ級・川井梨紗子選手(21)だけでなく、寮を出て一人暮らしをする卒業生の48キロ級・登坂絵莉選手(22)と、75キロ級・渡利璃穏(りお)選手(24)も食事は、今も寮でとる。おかずは1食10種類以上。苦しい減量に挑む登坂選手のためには鶏肉を薄く切り、体重が足りない渡利選手が夏場に食欲が落ちたときには雑炊を作る。
「選手たちを応援したくて始めた。この仕事をさせてもらえるのは幸せなこと。大変だとは思いません」。寮母になって10年余。2008年北京五輪には食事係として同行し、日本食を作った。五輪4連覇がかかるOGの53キロ級・吉田沙保里選手(33)や、58キロ級・伊調馨選手(32)も「お母さんみたい」と慕う。
7月中旬、前田さんは車で2時…