全国の小中学生のうち戸籍がないのは190人。その約4分の1に学力に課題がある。文部科学省は29日、そんな調査結果を発表した。スクールカウンセラーら専門家による支援が進んでいない実態も明らかになった。
文科省は昨年初めて無戸籍の子の実態を調査し、今回が2回目。今年3月10日時点で法務省が把握している無戸籍の6~15歳191人について市区町村教育委員会に聞いた。120人は前回調査と同じ子だった。
191人のうち1人は就学していなかったが、6月に無戸籍状態が解消。残り190人について「学力や学習状況」を聞くと「課題がある」とされたのは45人(23・7%)。内容は「家庭学習の習慣がない」「忘れ物や遅刻、欠席が多い」などで、小学校に就学していない期間がある7人のうち5人を含む。文科省の担当者は「相当数の学力に課題がある。一人親や貧困、未就学期間などが影響しているのではないか」と話す。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの支援は3~4%にとどまり、前回からほとんど増えていなかった。一方、半数程度が戸籍の取得に向けた支援などを受けていた。生活保護など経済的に苦しい世帯の子は約4割で、前回と同傾向だった。
子どもが無戸籍になる背景には、前夫から暴力を受けて避難した女性が子を産んだ際に出生届を出せないことなどがあるとみられている。民法に「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」という規定があるためだ。一人親だったり、貧困に苦しんでいたりするケースが多いという。(高浜行人)