奥田家の墓を下見に訪れたシルバー人材センターの佐藤孝一さん。「まだきれいでしょ」と話す=大分市
もうすぐお盆。帰省して墓参りする人がいる一方で、なかなか帰れずにふるさとの墓が気になる人もいる。「ふるさと納税」で寄付をすると、「墓掃除」や「墓参り代行」をしてくれる自治体が増えている。まだあまり知られていないが、需要はありそうだ。
東京都世田谷区の会社員奥田展久さん(44)は大分市の出身。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の存在を知った7月、故郷の返礼品をのぞいてみた。
関アジ、関サバといった海産物に豊後牛……。たくさんの特産品が並ぶ中で目についたのは、「ご先祖様見守りサービス」。2万円以上の寄付で、墓石の清掃、周囲の草取り、供花などを2回行ってくれるコースを選んだ。
18歳まで大分市で暮らした奥田さんはこれまで、大阪、福岡、奈良などで勤務。昨年4月、広島から東京に転勤してからは、なかなか故郷に帰れず、墓のことが気になっていた。
両親は市内で健在だが、住まいは墓からは遠く、頻繁に墓参りはできない。墓には、曽祖父、曽祖母、祖父母が眠る。いずれも幼い頃、かわいがってくれた人たちだ。「暑い中、高齢の両親が草むしりをするのも大変。人の手を借りてもいいのでは」と申し込んだ。
大分市がこのサービスを返礼品に加えたのは7月。「なかなか帰れない故郷への思いに応えるサービスを返礼品にしよう」と考えた。始めてすぐ奥田さんからの申し込みがあった。
実際に作業をするのは市シルバ…