甲子園のスタンドを覆う銀傘=兵庫県西宮市、本社ヘリから、高橋一徳撮影
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甲子園で行われる高校野球で、ホームランボールやスタンドに入ったファウルボールはプレゼントされるのでしょうか。また、「銀傘(ぎんさん)」の上に乗ったボールはどうするのでしょうか。(兵庫県 会社員 38歳)
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開催中の第98回全国高校野球選手権大会では、第6日までに計18本のホームランが飛び交っています。
このホームランボールは、打った選手の手元に戻ります。何本も打つ選手は一握りで、多くの打者にとってはその1本が一生の思い出になるからです。第2日には、格別な思いをした打者がいました。中京(岐阜)の吉位翔伍選手は大会通算1500本の節目を飾り、「自分なんかでいいのかな」と照れていました。キャッチした観客には、代わりに新しい公式球をプレゼントしています。
一方、ファウルボールは贈呈されています。始まったのは2002年の選手権大会から。ファウルボールにはバットとこすれた跡や、甲子園の土がついているかもしれません。日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長は「子どもが捕れば、野球を始めたり続けたりするきっかけになるかもしれない」と期待します。
贈呈と並行して、観戦にグラブを持参するよう呼びかけるようになりました。当時、ファウルボールが観客に当たる事故が議論を呼んでおり、打球の行方に興味をもってもらい事故を少しでも減らす狙いがありました。
ご質問にある「銀傘」は甲子園のバックネット裏から内野席の両端までを覆う大きな屋根。先端の高さは30メートル超あります。スイングの速い打者の多いプロと違い、高校野球ではたまに乗っかるくらいだそうです。
阪神甲子園球場によると、この銀傘には何カ所か連絡通路があり、月に一度ほど係員が直接上って回収しています。傾斜を利用して、ボールは集まりやすいように工夫されています。
ちなみに、銀傘の下の日陰に入れば屋根のない席に比べて気温が10度ほど低くなる日もあるそうです。夏の甲子園を支える、大きな力になってくれています。(スポーツ部・鈴木健輔)