台風10号の影響で道路が通れなくなり、岩手県岩泉町の山あいの集落では家の屋根に「SOS」と書いて助けを求めていた。岩手県の防災ヘリが取り残された人の救助に当たった=1日午後1時12分、朝日新聞社ヘリから、時津剛撮影
台風10号の豪雨による浸水被害で、岩手県警は1日、岩手県岩泉町で新たに1人の遺体を発見したことを明らかにした。県内の死者は12人となった。岩泉町によると、このほかに1人行方不明の情報があるという。県内では少なくとも約1100人が孤立状態になっている。北海道では3人が行方不明のままだ。
台風10号、犠牲者2人の身元発表 岩手県災害対策本部
岩手県によると1日正午現在、最も孤立状態の人が多いのは、11人が犠牲になった岩泉町で約900人。宮古市でも約200人が孤立している。岩泉町によると、孤立者の半数以上が高齢者とみられ、独居の人が多い。電話の不通などもあり、町内で十数人の安否を確認中という。道路事情の悪化で近づけない避難所も多く、ヘリコプターで米、パン、缶詰などを届けた。県内の避難所には4市町村で計約570人が避難している。
一方、北海道では崩落した橋から車が落ち、計3人が行方不明となっている。転落した車3台のうち2台が見つかったが、いずれも車内に人はいなかった。
道によると1日午後3時現在、清水、新得、南富良野の3町の761人に避難指示が出ている。自主避難も含めると、264人が避難所に避難している。
北海道清水町では1日午前11時ごろ、同町の無職椿(つばき)勝彦さん(75)の車が見つかったが、車内は無人だった。大樹町でも3人乗りの車が川に落ち、2人は自力で脱出。車は発見されたが、音更町の会社員鈴木洋平さん(28)は見つかっていない。新得町でも70代男性が運転する車が川に落ちたとの情報があり、捜索が続いている。