公表された表計算ファイルには、メモが残っていた(画像の一部を修整しています)
三重県が発注する発電所の運転管理業務の一般競争入札について、県の公式ホームページ(HP)で公開された書類の中に、特定の業者名を挙げて入札参加を可能にするよう便宜を図ったかのような記述が見つかった。県は「内部のメモを過って載せてしまった。官製談合などではないが、誤解を招く書き込みだった」と釈明。10月に予定していた入札は中止した。
問題となったのは、三重県桑名市にある「三重ごみ固形燃料(RDF)発電所」の施設運転管理業務。県企業庁によると、発電所を建設した富士電機(本社・東京都品川区)が2002年の稼働開始から管理業務も請け負ってきたが、契約が今年度末で切れるのに合わせ、一般競争入札を決めた。メモで名前が出たのは都内に本社がある下請け業者という。
委託業務の契約期間は来年4月~2021年3月で、評価基準価格は税抜き13億9534万円。
県は8月30日、入札の公告をHPに掲載し、関係書類も載せた。この中の入札企業の技術力や経験などの評価基準を記した文書に、「下請けを追加する ○○○(業者名)を参加可能とするため」という書き込みが欄外に追記する形で見つかった。「項目を5~3項目程度に減らして、業者により差をつけるようにする」という記載もあった。
県企業庁の説明では、書き込みは情報共有を目的とした職員のメモで、削除を忘れていたという。今月2日、市民から発電所に問い合わせがあり、発覚した。
県企業庁は今回の入札にあたって、競争原理が働けばより安価に質の良い業務委託が期待できるとして、元請けに限らず、下請けなどの実績も参加資格として認めたという。発電所の池田靖介所長は「下請け会社のような規模の小さい業者でも入札に参加できる方針を共有するため、便宜上、具体的な名前を出した。ただ固有名詞は誤解を招いた」と話している。(井上昇)