議員辞職願を副議長に提出する市田龍一議長(右)=20日午前、富山市議会議事堂、松原央撮影
富山市議会(定数40)の政務活動費不正問題で、いずれも自民会派の市田龍一議長(61)、谷口寿一(としかず)氏(53)、藤井清則氏(54)が20日、辞職願を提出した。既に辞職願を出していた自民と民政クラブ(民進系)の計3人と合わせ、計6人の辞職が21日の本会議で許可される見通し。政活費不正を認めて辞職するのは9人になる。
提出後に市田氏は「真相究明、再発防止をまとめる役の議長として、このような不祥事になったことを深くおわびする」と述べた。谷口氏は「自分が犯したことを恥じなければいけない」、藤井氏は「支援者の期待を裏切ったことに罪の意識を感じている」と話し、それぞれ謝罪した。
本人らの説明によると、市田氏は約31万円を不正取得。2015年2月にプロジェクターなど約14万円の商品を買ったように装った偽造領収書を会派事務員を通じて事務機器会社に作成してもらった。同5月にも約8万円のパソコンを購入した際の領収書の額面を約17万円に書き換えさせた。
今月上旬に同社から相談された際に「胸に納めてくれ」と伝え、領収書記載の商品を改めて発注して隠蔽(いんぺい)を図ったが、同社が19日に会派に報告して発覚。市田氏は「商品は後から注文するつもりだったが、忙しさにかまけて放置した。金は議員活動の経費に使った」と話した。
谷口氏は、会派前会長の中川勇氏(69)=議員辞職=から渡された偽造領収書を使い、13~14年に3回にわたり印刷代として政活費計約92万円を不正に取得。別会社に発注した議会活動報告の印刷代を除く約47万円を中川氏に渡した。藤井氏は、14~15年に市政報告会を11回開いた際、酒店からもらった白紙領収書を使い、茶菓子代として政活費約21万円を不正取得した。
同市議会の欠員は、問題発覚前からの1人を含め21日には10人になる見通し。公職選挙法に基づいて50日以内に補選が実施される。
これに対し、共産、社民会派は20日、21日閉会の市議会定例会の会期延長や強い調査権を持つ「百条委員会」の設置を求める申入書を他の3会派に出した。
また、富山県議会では20日、政活費75万円の不正取得を認めた民進会派の山上正隆氏(61)の辞職が許可された。同県議会で政活費の不正を認めて辞職するのは、前副議長の矢後肇(はじめ)氏(56)=自民、7月に辞職=に続いて2人目。
矢後氏の辞職に伴う県議補選が同県知事選と同日の10月23日に予定されていたが、同一選挙区の山上氏の辞職により補選単独で実施可能になり、同県選管は日程を変更するか検討する。