被災した家屋の被害認定調査をする町職員ら。1軒あたり10分ほどかけて、被害を住民から聞き取ったり、浸水した高さを測ったりしていた=19日午後、岩手県岩泉町門、福留庸友撮影
8月末の台風10号で19人が死亡した岩手県岩泉町で、発生から3週間たっても家屋被害の全容が明らかになっていない。町内全戸の半数近くの2千戸以上が被災したとみられているが、東京23区より広い町で職員も不足していることが実態解明を遅らせている。
家屋調査は町職員が目視などで被害を調べ、「全壊」「大規模半壊」など4区分に認定する。全家屋の調査終了後、住民に罹災(りさい)証明書を発行する。程度に応じて生活再建支援金や義援金の給付、住宅再建の融資などが受けられる。
岩手県によると、20日現在の県全体の住宅被害は全壊18棟、半壊890棟などだが、岩泉町は一部損壊1棟だけ。町内の全住宅数は4586戸。調査の進捗(しんちょく)率は20日中に90%に達する見通しで、少なくとも2千戸が被災したとみられているが、分類が進んでいない。10月1日までには罹災証明書を発行したい意向だ。
岩泉町の面積は約993平方キロ。町としては本州で最も広く、東京23区の約1・5倍ある。一方、町職員は189人。家屋調査の担当者は増員も含めて12人。他の市町村からの応援を含めても20人余りという。町の担当者は「被害が町全域に及び、集計作業が遅れている」と話す。
「遅くなり、申し訳ありません…