建て替えが決まった中日ビル=28日、名古屋市中区栄、戸村登撮影
名古屋・栄地区のシンボル、中部日本ビルディングが老朽化のため2019年春以降に建て替えられ、中日劇場は18年春に閉まることになった。中日新聞社が28日発表した。かつて「名古屋三座」に数えられた劇場は半世紀で幕をおろす。
中日ビルは1966年開業。地下4階、地上12階で延べ床面積は8・4万平方メートル。オフィスやビアガーデン、飲食店もあり、約180のテナントが入る。
営業を続けるにも耐震補強の費用がかさむことが分かり、建て替えを決断。19年3月末で閉じ、2020年代半ばの新ビル完成をめざす。その中身は17年秋をめどに詰める。中日新聞の水野和伸専務は「ホテルの誘致も含め、あらゆる可能性を検討する」と述べた。
ビルと同時に開いた中日劇場は座席数1420。昨春閉まった名駅地区の名鉄ホール、伏見地区で建て替え中の御園座と並び「名古屋三座」と言われたが、赤字が続いた。水野氏は「断腸の思い」と述べ、替わりにライブなどができる施設を設ける方向という。
中日劇場が閉まる直後の18年4月には経営再建中の御園座が新劇場を開く。御園座には中日新聞や名古屋鉄道も出資しており、「三座」は一本化される形だ。
中日劇場の舞台に92年から立つ俳優の熊谷真実さんは「お客さんをとても近くに感じる劇場。職を失うような感じです」。一方、かつて中日ビルの衣料品店で働いていた名古屋市の40代女性は「文化と買い物が楽しめる栄の魅力を受け継いでほしい」と話した。(大隈悠、小林裕子)