働くことを妨げる「壁」とは?
財務省が掲げる所得税の配偶者控除見直しが、早くも軌道修正されそうだ。政府の働き方改革に沿った「夫婦控除」への衣替えをめざしたが、中間所得層への負担増となりかねず、与党内から選挙への影響を心配する声も出てきた。まずは配偶者控除の「壁」を引き上げる妥協策を探ることになる。
所得税改革は、財務省などが2013年から議論してきた。政府税制調査会は昨年11月の論点整理で「税負担の累進性を高めることで、低所得層の負担軽減を図る」と明記した。
高所得者への税金を重くし、低所得者は軽くする「再分配機能」を高める狙いだ。若い層を中心に非正規社員の比率が高まり、所得の少ない世帯が増加。消費低迷の一因になったとの問題意識がある。
配偶者控除の見直しも、出発点は同じだ。専業主婦世帯は高所得でも税負担が軽くなるが、パート世帯などは夫婦のうち収入の多い方が配偶者控除を受けられるよう、一方が年収を103万円以下に抑えるために仕事量を減らしているという見方だ。「就労の壁」とも言われ、健康保険料や国民年金保険料の負担が生じる年収130万円の壁などもある。
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