無縁墓地には、生後間もなく遺棄され、名前もないまま亡くなった赤ちゃんの遺骨も眠る。墓地の管理人は「きれいにしておかないと、かわいそう」と墓石を掃除した=千葉県南房総市、堀英治撮影
■小さないのち 奪われる未来
九州地方に住む30代の女性は「そろそろ」と思っていた2年前の早朝、おなかが痛くなり、風呂場に駆け込んだ。生まれた赤ちゃんの顔に耳を近づけたが、息をしていなかった。
特集「小さないのち」
一緒に暮らす家族に言えないまま赤ちゃんを車に隠した。「自分にはできないけど、埋葬してほしい」と、数日後の夜、病院内にそっと置いた。
女性は亡くなった赤ちゃんを置き去りにした死体遺棄罪で有罪判決を受けた。
女性らへの取材や裁判記録によると、女性は実家に住み、パートで働いていたものの、生活費は親に援助してもらっていた。自宅とパート先を往復する生活の中で、ネットで知り合った男性とデートするようになった。「ドライブしてご飯を食べに行って。そういうことが楽しかった」
そして、妊娠。相手の男性に会…