韓国のソウル中央地裁は22日午前、検察が求めた李明博(イミョンバク)元大統領(76)の逮捕状発付について、李氏から陳述を聞く審問を行わず書類審査で結論を出すと決めた。李氏は地裁に求められた審問出席を拒否し、地裁はいったん22日と決めた審査期日を白紙としたため、判断が注目されていた。
李明博元大統領が検察に出頭 総額10億円超の収賄容疑
地裁は、検察が提出した証拠や証言をもとに逮捕状を出すかどうか決める。容疑が十数件に及ぶため、結果が出るのは22日深夜か23日未明になる見通しだ。李氏はソウル市内の自宅などで結果を待つとみられる。
地裁は20日、李氏に22日に審問へ出席するよう通知したが、李氏は「(任意出頭した)検察で自らの立場を十分に明らかにしており、出席しない」と表明。検察は李氏を強制的に出廷させることもできたが、捜査を「政治的報復」と批判する一部世論の反応も考慮して見送っていた。
検察の捜査は「積弊(旧来の積み重なった弊害)清算」を掲げる文在寅(ムンジェイン)政権のもと、昨年10月に本格化。検察はこれまでの捜査で、李氏が大統領在任中、情報機関の国家情報院に領収書の要らない特別活動費を上納させたり、李氏が実質的な所有者と疑われる自動車部品会社を通じて多額の秘密資金を作ったりした疑いが強まったとして19日、収賄や背任、職権乱用などの容疑で逮捕状を請求した。李氏が受け取った賄賂は総額約110億ウォン(約11億円)、秘密資金の総額は約350億ウォンに上るとしている。
韓国では昨年3月末、弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)された朴槿恵(パククネ)前大統領が収賄容疑などで逮捕された。朴氏は公判中で、検察は懲役30年を求刑。李氏が近く逮捕された場合、1年のうちに大統領経験者が2人逮捕される事態になる。
李氏は2008~13年に大統領を務めた。(ソウル=武田肇)