楽天入団が決まった細川
■スコアの余白
楽天には“一石三鳥”と言える補強だと思う。ソフトバンクを退団した細川亨捕手(36)のことだ。
スコアの余白2016
「正捕手の嶋がいるのになぜとったの?」。そんなファンの声が聞こえてきそうだが、36歳のベテランにはいろいろな価値がある。
ソフトバンク関係者からも、細川の戦力外通告に「衝撃だった」という反応があった。西武とソフトバンクで3度ずつリーグ優勝したベテランには、先発出場は無理でも「細川が(マスクを)かぶれば少し安心かな」という評価があった。毎年優勝争いに加わるソフトバンクだが、来季はその保険がなくなる。逆に楽天は、31歳で故障がちになってきた嶋の負担を軽減できる。
楽天にとって最も大きいのは、ソフトバンクのデータが入ってくることだ。投手陣の球を受けて、攻撃陣も内側から見ている捕手は、チームの頭脳とも言われる。同僚だった内川は「打者の特徴をつかむのがうまい。対戦が楽しみという意識なんて無い」と今から警戒している。
楽天の弱点も把握しているだろう。ソフトバンクのバッテリーが何度もミーティングをして分析したデータは、細川の頭の中に残っているはず。楽天はそれをもとに対策が打てる。他の4球団のデータも、楽天が持っていない情報があれば魅力的だ。
細川は「強いチームに勝ってナンボだと思っている」と話し、来季は東北から旋風を巻き起こそうとしている。(小俣勇貴)