熊本地震で設置されたマンホールトイレ。利用者にも好評だったという=熊本市上下水道局提供
災害時、避難所に設置される災害用トイレの備えについてNPO法人が実施した調査で、回答した自治体の約5割が「不足している」と答えていることが明らかになった。災害用トイレを巡って国は、今春にまとめた新たな指針で自治体に対策を促しているが、整備が進まない実態が見えてきた。
汚い・暗い・狭い… 避難所トイレ、環境改善どうすれば
調査したのは「日本トイレ研究所」。1980年代から公共トイレの環境改善に取り組み、自治体などに災害時のトイレ計画策定の講習会を開いている。調査は9~10月、都道府県や市の計811自治体に聞き、92自治体から回答を得た。
想定避難者数に対する災害用トイレの備えについては「非常に不足」と「不足」が合計53%。理由として「予算の確保が難しい」「備蓄場所がない」などがあげられていた。
トイレ対策の責任者を決めていない自治体は約60%。避難所の仮設トイレ設置場所を具体的に定めている自治体は約23%にとどまった。自由回答からは「仮設トイレが何日で届くのか想定が難しい」「備蓄しておくべき種類は何か」といった現場の悩みや情報不足も浮かび上がった。
トイレ不足は感染症リスクを高…