急性リンパ性白血病の小児患者の染色体異常を調べてタイプを見分けることで治療期間を短くできる可能性があると、国立成育医療研究センターなどの研究チームが28日、発表した。患者によっては、従来は2年ほどかかる治療が1年余りとなり、負担を少なくできるという。
急性リンパ性白血病は小児がんの3割近くを占める。この病気の治療では、注射薬の抗がん剤を半年程度使用後に、飲み薬の抗がん剤を1年以上服用するのが一般的で、5年生存率は7~8割。飲み薬の期間が短いと再発リスクが高まり、長いと成長してから心機能などの障害リスクが高まるが、最適な服用期間がはっきりしない。
全国約60施設が参加する研究チームは、1992年~95年に治療を受け、飲み薬の期間が4~6カ月の151人について、がん細胞の全遺伝情報(ゲノム)を解析。その結果、特定の染色体異常(2種類)があった患者は再発なしの生存率が9割を超え、飲み薬の期間を短くできる可能性が浮かんだ。ほかの患者では5割程度だった。また、女性の方が男性より再発率が低かった。
国立成育医療研究センターの加藤元博医長は「性別や染色体異常の有無で、飲み薬の服用期間の判断材料が得られ、患者の負担を最小限にできる可能性がある」と話す。(熊井洋美)