国連安保理で対北朝鮮の制裁強化決議を採択後、会見する米国のサマンサ・パワー国連大使(左)と日本の別所浩郎・国連大使=11月30日、ニューヨーク、金成隆一撮影
5度目の核実験を強行した北朝鮮への制裁強化決議が国連安全保障理事会で採択されたのを受け、決議を主導した米国のパワー国連大使は11月30日、全会一致での採択を歓迎し、「安保理が近年どの国に科した制裁よりも厳しい」と成果を強調した。
新決議は北朝鮮の輸出による年間の外貨収入約30億ドル(約3360億円)のうち、3分の1を占める石炭の輸出に上限を設定。その他の分野にも制裁は幅広く及んでいることから、パワー氏は、決議が履行されれば、北朝鮮の外貨収入の25%に相当する総額8億ドル(約900億円)を削減できる、と強調した。
パワー氏はまた、シリア情勢などで安保理が深刻な分裂に陥る中でも、新決議が全会一致で採択された意義を強調。「北朝鮮が危険で地域を不安定化させる道を追求する限り、安保理はさらに厳しい対応を取るというメッセージだ」と北朝鮮に警告を発した。
日本の別所浩郎・国連大使も全会一致を評価した上で、「制裁は北朝鮮の政策を変えることが狙い。もし北朝鮮が非核化に真剣に取り組み、具体的な行動をとれば、我々は対話を始める準備ができている」と北朝鮮に呼び掛けた。
一方、中国の劉結一・国連大使は「中国は北朝鮮の行為(核開発)に断固反対だ」と強い姿勢を示しながらも、米韓の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の朝鮮半島への配備計画が「中国の戦略的な安全保障上の利益を深刻に損なっている」と、反対姿勢を改めて強調した。ロシアも「強く非難する」とTHAADに反対した。(ニューヨーク=金成隆一)