シリア内戦の最激戦地、北部アレッポをめぐり、米国とロシアは10日午後、スイス・ジュネーブで実務者協議を始めた。タス通信が伝えた。反体制派が支配するアレッポ東部に対し、アサド政権側は先月中旬から猛攻をかけており、同地区に現在も残っている民間人約10万人(国連推計)の救済策などを検討する。
ロイター通信などによると、米国のケリー国務長官は9日、訪問先のパリで「ロシア側と接触させるため、代表団をジュネーブに送る」と表明した。タス通信によると、協議には両国の軍専門家や外交官が参加。「アレッポ東部の最終的な解決策」について両国間の合意を目指すとしている。
ジュネーブでの米ロ実務者協議に先立ち、米英独仏、中東諸国の外相らはパリで10日、アレッポの状況やシリアの和平について議論する会議を開いた。アレッポ市民の安全の確保や人道支援の緊急性で一致。ケリー氏は、ロシアとの協議について「希望を持っている」としつつも、「とても難しい外交交渉だ」と語った。また、アサド政権側がアレッポを掌握したとしても、「内戦が終わるわけではない。様々な問題が未解決のままだ」とした。(松尾一郎、パリ=青田秀樹)