東京都内で相次いだ「声優のアイコ」を名乗る女による昏睡(こんすい)強盗事件で、男性を睡眠薬で眠らせて現金などを奪ったとして、昏睡強盗などの罪に問われた無職、神いっき被告(32)の公判が12日、東京地裁であった。弁護側は、「別人格が生じる解離性障害だった」と主張している。地裁はこの日までに、「障害がない」とする地裁嘱託の鑑定医と、「ある」とする弁護側鑑定医の鑑定書をともに証拠として採用した。それぞれの鑑定をもとに責任能力の有無を判断するとみられる。
犯人は私の中のもう一人の私(きょうも傍聴席にいます)
2014年9月の初公判で被告は「身に覚えがない」と無罪を主張。その後、精神鑑定のために審理が約1年間中断された。再開された今年10月の公判では、地裁が嘱託した鑑定医が「解離性障害とはいえない」と述べた。
これに対し、「被告の中の別人格がしたことで責任能力がない」と主張する弁護側はこの日、別の医師を証人尋問。医師は神被告には「げんき」(男児)や「みさき」(女性)などの別人格がいて、「犯行時の被告は、酒に酔ったときにしか現れない『みさき』の人格だった」と証言した。被告が面談中に、被告の中の「げんき」の人格になって被告に不利な話をしたり、声の調子や筆跡が異なったりした、とも述べた。(志村英司)