給食の時間、「肉団子のポトフ風」をおかわりしようと列を作る子どもたち=栃木県大田原市の西原小学校、林敏行撮影
全国でじわりと広がる給食の無償化。家計の負担軽減だけでなく、各地の自治体が頭を悩ませる未納問題の解消にも一役買っている。一方、無償化には多額の税金がかかることなどから、多くの自治体は二の足を踏んでいるのが実情だ。
公立小中の給食無償化、全国55市町村 朝日新聞社調査
「わー、栗ご飯だ!」。10月下旬のお昼時。滋賀県長浜市立神照小学校の4年ろ組で子どもたちの歓声が上がった。サケフライと豚汁、ひじきの煮物。牛乳、アイス入り大福も並んだ。
長浜市は9月から、27の小学校すべてで給食を無償にした。対象児童は6078人で、無償自治体では最も多い。1人あたり年4万4千円の給食費を公費でまかなう計算だ。新規事業のために市が積み立てた基金と一般財源をあてた。
中学2年、小学5年と3年、2歳の子どもを育てる市内の主婦(39)は「制服や学用品などお金がたくさんかかるので助かる。よくぞ一歩踏み出してくれた。長く続けてほしい」と歓迎する。
無償化の検討は、14年に2期目に入った藤井勇治市長の「鶴の一声」で始まった。藤井市長は「次の時代を担う子どもを育てるには、保護者への支援が必要。市民全体で子どもたちを支えていくために税金を活用した」と話す。
無償にした自治体は、財源の確保に知恵を絞る。
12年10月から小中学校で無…