姉の愛梨ちゃんの遺影を手に、サンタさんと話をする佐藤珠莉ちゃんと母親の美香さん=11月28日、フィンランドのサンタクロース村、カメラマンの丹葉暁弥さん撮影
東日本大震災の津波で当時6歳の姉を亡くした宮城県石巻市の佐藤珠莉(じゅり)ちゃん(9)が、フィンランドでサンタさんに会った。姉と自分の人形を世界中に連れて行って――。昨年のクリスマス、サンタさん宛てにそう手紙を書いたら、「人形はわしと一緒に旅しているんだ」「会って話がしたいな」と招待状が届いた。今年のクリスマスには、世界中を旅する人形の写真を届けてくれるはずだ。
11月28日、フィンランド・ロバニエミ市の「サンタクロース村」。木造の建物が並ぶ一角のオフィスで、珠莉ちゃんはサンタさんと対面した。姉の愛梨(あいり)ちゃんの遺影を抱え、緊張した様子の珠莉ちゃんを気遣うように、サンタさんは「人形はわしと一緒に、たくさんの国を旅してきたんだ」と切り出した。珠莉ちゃんが「世界旅行の写真をもらえますか」と尋ねると、「クリスマスの日に届けるよ」と約束してくれた。
珠莉ちゃんは震災の年から、クリスマスに「おもちゃはいらない。お姉ちゃんが帰ってきてほしい」とお願いしてきた。三つ違いだった姉は、幼稚園の送迎バスの中で津波にのまれた。
そんな珠莉ちゃんが、自分と愛梨ちゃんの人形をプレゼントにもらったのは、一昨年のクリスマス。昨年のクリスマスには、サンタさんに「2人の人形に世界旅行をさせて」と手紙を書いた。姉の代わりに、人形に世界中を見させてあげたかったからだ。すると人形はこつぜんと姿を消した。
実は、母親の美香さん(41)…