シリアのアサド政権軍は22日の声明で、北部の最大都市アレッポについて、反体制派が支配してきた同市東部から住民の避難と反体制派戦闘員の撤退が完了したと発表した。朝日新聞のインターネット電話取材に応じた現地の反体制派関係者も、同市東部から「すべての住民と同派戦闘員が脱出した」と証言した。
声明ではアレッポの「治安と安定の回復」を宣言、「対テロ戦争の重要な転機であり、テロリストとその支援者には大打撃だ」とした。政権側は反体制派を「テロリスト」とみなす。
アレッポ東部は政権側が今月中旬に制圧。住民の避難と反体制派戦闘員の撤退が始まった。赤十字国際委員会によると、22日朝までに同地区から約3万4千人が脱出した。
アレッポ東部から撤退した反体制派は、同派と過激派組織が共同で支配する北西部イドリブ県に移った。イドリブ県はアレッポと地中海沿岸をつなぐ交通の要衝。反体制派は政権側に徹底抗戦する構えを崩しておらず、次はイドリブ県が激戦地になる可能性がある。(イスタンブール=春日芳晃)