国連総会(193カ国)は23日の本会議で、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」について来年3月から交渉を始めるとの決議を113カ国の賛成多数で採択した。だが、核大国の米国では来年1月、「核能力の強化」を訴えるトランプ氏が大統領に就く。核兵器の禁止を求める非保有国と保有国との溝は、さらに深まりそうだ。
核兵器禁止条約交渉、3月開始を決議 国連総会
特集:核といのちを考える
採決では、核保有国の米ロ英仏などに加え、唯一の戦争被爆国である日本も反対した。反対は35カ国、棄権は13カ国だった。決議は核兵器を禁止する法的措置を交渉する会議を2017年3月と6~7月に開くよう求める内容で、核兵器の「非人道性」を訴える非保有国のメキシコやオーストリアなどが推進してきた。
決議を受け、来年3月27日からニューヨークで会議が始まるが、米国は「核なき世界」を掲げたオバマ政権からトランプ政権に代わる。トランプ氏は今月22日に「世界の核に関する良識が戻るまで、米国は核能力を大いに強化・拡大する必要がある」とツイッターで発信した。
オバマ政権でさえ、長期的には核兵器廃絶を目指しつつも、核軍縮は安全保障環境の改善とバランスよく進めなければ国益が危うくなるとの考えから、禁止条約に反対してきた。トランプ政権では保有国の利益をより露骨に追求することになるとの見方が強い。
国連関係者は「オバマ政権下で…