今年1月の箱根駅伝で5区を務めた青学大の神野大地
来年1月2、3日に行われる第93回東京箱根間往復大学駅伝競走では、往路の「山登り区間」として知られる5区(小田原―箱根町)の距離が12年ぶりに短縮される。4区(平塚―小田原)が18・5キロから20・9キロに伸びる一方、往路アンカーが走る5区は23・2キロから20・8キロに短くなる。5区の出来が総合成績に影響する傾向が強まっている中、変更がどうレースを左右するか。
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5区は800メートル以上の高さを駆け上がり、終盤は下りになる特殊区間で、ここだけで4、5分の大差がつく例も珍しくない。過去11大会のうち、5区で区間トップだった選手の所属大学が往路優勝に10度、総合優勝に7度も輝いた。前回まで総合2連覇の青学大は神野大地(現コニカミノルタ)が驚異的な記録をマーク。それ以前にも順大の今井正人(現トヨタ自動車九州)や東洋大の柏原竜二(現富士通)が「山の神」と評された健脚で話題をさらった。
距離変更により、伝統的なエース区間の2区がより重視されるとの声や、「4区の難易度が高くなった」(山梨学院大の上田誠仁監督)との見方がある。だが、5区の重要性は不変との指摘も根強い。東海大の両角速監督は「いろんなデータを見ても、一番差がつく区間であることは変わらない」。低体温症などでブレーキに見舞われる走者も目立ち、形勢が一気に変わり得る区間との位置付けに違いはないようだ。
3連覇へ向けて強力布陣を誇る青学大の原晋監督は「唯一の不安は山。1区間で3分開いちゃうとしんどい」と、神野が抜けた5区に少し神経質になっている様子。「天下の険」をめぐる戦いには今回も注目が集まる。