神奈川県厚木市のアパートで2014年、死後7年経った男児(死亡当時5)の白骨化した遺体が見つかった事件で、殺人などの罪に問われた父親の斎藤幸裕被告(38)の控訴審判決が13日、東京高裁であった。秋葉康弘裁判長は、殺人罪などで懲役19年とした一審・横浜地裁の裁判員裁判による判決を破棄。殺人罪ではなく保護責任者遺棄致死罪に当たるとして、改めて懲役12年を言い渡した。
この日の判決は、被告が男児に十分な食事を与えず、気温が下がる中、暖房がない部屋に閉じ込めて放置し、死亡させたと認めた。
一方、一審が殺意の根拠とした「死亡推定時期の1カ月以上前に、男児が動けない状態だった」などとする被告の捜査段階の供述調書について、信用性を否定。それ以前に誘導するような取り調べがあったことや、供述に変遷があることを理由に挙げた。
男児について「死亡までに相当やせて衰弱していた」としつつ、「医師の診察を受けなければ男児が死亡する可能性が高いと被告が認識していたとは認められない」と述べ、殺人罪の成立を否定した。
判決について、東京高検の曽木徹也・次席検事は「主張が認められず、残念だ。判決内容を十分に精査・検討し、適切に対処したい」とコメントした。(志村英司)