58人が死亡、5人が行方不明となった御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害をめぐり、死亡した登山者5人の遺族計11人が25日午後、国と長野県を相手に総額1億4千万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を、長野地裁松本支部に起こした。
噴火は2014年9月27日の土曜日の昼に発生。多くの登山者が巻き込まれ、戦後最悪の火山災害となった。遺族側は裁判で、気象庁が、登山者へ火山状況を示す防災情報「噴火警戒レベル」を1(「平常」、現在は「活火山であることに留意」と変更)から、2(火口周辺規制)に引き上げなかった判断の是非を問う考えだ。
訴えによると、噴火前の14年9月10、11両日には、1日の火山性地震がいずれも50回を超えた。火山性地震が1日50回以上観測された場合、噴火警戒レベルを2に引き上げる基準の一つとなっていたとされる。遺族側は「引き上げていれば、山頂周辺への立ち入りが規制され死者が出なかった」と主張する。
一方、長野県に対しては、山頂付近に県が設置していた地震計の管理責任を追及する。地震計は13年夏に故障してから約1年放置されていたとして「正常に稼働していれば、精度の高いデータを気象庁に提供でき、レベルが引き上げられた可能性が高い」としている。