米アリゾナでのキャンプ2日目、キャッチボールする日本ハムの大谷=時事
侍ジャパンの“主役”がいなくなった。右足首を痛めていた日本ハム・大谷のWBCの不参加が決定。本大会を前に、不安な船出を強いられることになった。
大谷翔平、WBCに出場せず 小久保監督が明かす
日本代表の小久保監督にとっては、苦渋の決断となった。3日までに大谷と国際電話で話し合い、本人の口から足の状態を聞き出した。すでに投手での出場は断念していたが、野手でも欠かせない選手。それでも「とても無理させられる状態じゃない」。同意の上での決断で、大谷からは「最終的に力になれず申し訳ない」と言われたという。
代表28人の内訳は投手は大谷を含め13人で、野手は15人だった。「投手は13人以上」という規定となりそうなため、大谷を野手登録にする場合は、選手の入れ替えが必要になる。小久保監督は一度選んだ野手を外すよりも、大谷の代わりに先発投手を新たに1人選ぶことを選択。100%の状態でチームに貢献できる選手を優先した形となった。
昨秋の強化試合で登板した野村(広)、武田(ソ)らが候補に挙がっている。
投打の大看板の出場断念で、戦略もがらりと変わりそう。大谷が先発予定だった3月7日の1次リーグ初戦の先発マウンドは、則本(楽)を軸に再考する見込み。指名打者で出場予定だった試合は、山田(ヤ)がその役割を担いそうだ。則本は言う。「本人が一番悔しいと思う。残った選手がカバーしないと。与えられた環境でやるだけです」
2大会ぶりの世界一を目標に掲げた今大会。小久保監督が希望した大リーガー投手の招集はかなわず、頼みの綱だった大谷もまさかのアクシデント。「ファンのみなさんにとっても期待される選手でしたが……。ただ、前に進むしかない。目指すところは全く変わらない」。自らに言い聞かせるように、顔を上げた。(山口裕起)
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日本ハムの大谷がWBCの出場を断念し、各球団の日本代表選手にも波紋が広がった。大谷と同学年で高校時代からライバル関係にある藤浪(神)は「優秀な投手、打者が抜ける。自分に与えられる役割も変わるかもしれない」。4番候補の筒香(D)も「難しい決断だったと思う。残りのメンバーで世界一へ頑張りたい」と話した。嶋(楽)は「大谷の分までみんなで力を合わせて戦うだけ」。