Jリーグ開幕を待つピッチ=2月6日、埼玉スタジアム2002
毎試合後、くぼみ一つひとつに種をまき、冬場は保温と保湿のため毎晩シートで全面を覆う。Jリーガーや代表選手が躍動するサッカー専用の埼玉スタジアム2002(さいたま市)の青々とした芝は、春夏秋冬休みのない緻密(ちみつ)な作業によって保たれている。
スタジアムの完成は2002年の日韓W杯の前年。輪嶋正隆・芝環境課長(62)はオープン以来、年間50~60ある試合のすべてをスタンドから見守ってきた。約9千平方メートルのピッチを330に区切った図面を広げ、コーナーキックやゴールキックが蹴られた位置や本数、時間帯ごとのピッチの状態を書き込む。
試合後、スパイクで芝が削れたくぼみに砂と混ぜた種をまいていく。1試合で1万数千カ所に上ることも。病害のリスクを避けるため3系統の種をまくが、うち1系統の種はハトの好物。種を食べられるだけでなく、飛び散った砂が周りの芝に積もって生育の妨げにもなるため、かかしを立てたりロケット花火で驚かせたり。発芽までの4~10日ほど、闘いが続く。
通気性や水はけも重要だ。1平…