国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは7日、シリアの首都ダマスカス近郊の軍事刑務所で2011~15年に毎週絞首刑が執行されていたとする報告書を公表した。5千~1万3千人が処刑されたと推計。アサド政権が政策として組織的に実施したもので「人道に対する犯罪だ」と非難している。
アムネスティは15年12月からの1年間に刑務所の元看守や元収容者、元軍事法廷判事ら84人から聞き取り調査を実施。報告によると、ダマスカス北方にあるサイドナヤ軍事刑務所で毎週1、2回、20~50人が処刑されていた。多くが反体制デモの参加者、人権活動家、ジャーナリスト、医師、労働者、学生ら民間人だという。
収容者はイスラム法廷と軍事法廷で審理されるが、審理時間は1~3分間。有罪判決を受けると建物の地下に連行されて2~3時間殴られ、絞首刑にされる。大量処刑にはアサド大統領の代行権限を持つ国防相の署名が必要だという。
アムネスティは「処刑が現在は行われていないと考える理由はない」と指摘。今年1月上旬にシリア政府に書簡を送って説明を求めたが、これまでに回答はないという。(カイロ=翁長忠雄)