ローマで19日、民主党の会合で演説するレンツィ前伊首相。ANSA提供=AP
イタリアのレンツィ前首相は19日、与党民主党の書記長(党首に相当)を辞任した。伊メディアによると、書記長選は5月までに行われる見通し。再選に意欲を示すレンツィ氏は早期総選挙を視野に入れており、書記長選で党内基盤固めを狙う。踏み絵を迫られた党内の反レンツィ勢力の分裂は不可避な情勢だ。
レンツィ氏は、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正案の是非を問う昨年12月の国民投票が反対多数となり、敗北の責任をとって首相を辞任した。党内の反レンツィ勢力が造反したことも響いた。後任の首相には側近のジェンティローニ氏が就任したが、レンツィ氏は9月にも早期総選挙が実施されることを望み、首相返り咲きを目指しているとささやかれている。
伊議会は2018年春に任期満了を迎える。世論調査では、新興政党「五つ星運動」が伸長するとみられている。ただ、憲法裁判所は1月、上位2党による決選投票で勝者に単独過半数の議席を与える下院の選挙制度が違憲と判決。五つ星の政権奪取へのハードルは高まった。さらに、昨年6月に五つ星が市長の座を奪ったローマ市で幹部の汚職問題が噴出するなど、五つ星は窮地に追い込まれている。(ローマ=山尾有紀恵)