福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院に昨年12月、タクシーが突っ込み10人が死傷した事故で、福岡地検は28日、個人タクシー運転手の松岡龍生(たつお)容疑者(64)=福岡市西区=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪で起訴した。精神状態などを調べる鑑定留置の結果、心身に目立った異常はなく、刑事責任能力は問えると判断した。
起訴状によると、松岡容疑者は昨年12月3日午後5時ごろ、タクシーを運転中にアクセルとブレーキのペダルを踏み間違え、病院1階のラウンジに衝突。見舞いに来ていた福岡市博多区の花田盛幸さん(当時44)と妻美佐代さん(同44)、入院患者の遠藤一行さん(同53)を死亡させ、20~50代の男女7人に重軽傷を負わせたとされる。
タクシーに搭載された、事故直前の約5秒間を記録する「イベントデータレコーダー(EDR)」を福岡県警などが解析したところ、ブレーキではなくアクセルが踏まれ、速度は時速85キロ以上出ていたという記録が残っていた。県警には「病院の数十メートル手前から加速した」との目撃情報も寄せられたという。
松岡容疑者は逮捕後の調べに「ブレーキを踏んだが止まらなかった」と供述していた。だが、車体に異常は確認されなかった。
また、地検は昨年12月17日から約2カ月間、鑑定留置を実施したが、病気などの心身の異常は見つからなかった。地検は刑事責任能力に問題はないと判断し、事故はペダルの踏み間違いが原因と結論づけた。