主将の清宮を中心に円陣を組む早稲田実の選手ら=坂名信行撮影
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昨秋の明治神宮大会で準優勝した伝統校の早稲田実には、大舞台で力を発揮できる強さがある。
その要因は選抜出場が決まった時の清宮の言葉に詰まっていた。「僕らの強みは球場の雰囲気を変えてくれる応援の人たち。一緒になって相手をのみこんでいきたい」
清宮がいることで、ほかの高校以上に注目を浴びてきた。そのため、選手は周囲の目には慣れている。4番を打つ野村や捕手の雪山ら試合に出る1年生も、萎縮するところがない。
主将の清宮は、自分の姿勢や声でチームが平常心を保てるようにしている。雪山は「守備が優先。投手に1年生が多いから、どれだけ声をかけるか、お前のタイムが大事だ」と言われ、落ち着くことができた。野村は「清宮さんは打てなかったときもずっと声を出している。自分の調子を気にしていない」と前向きな姿に勇気づけられている。
一方で、相手には過剰な意識が生まれることが多い。昨秋の東京都大会決勝では、日大三は九回、リードしていながら守りのミスで同点とされ、最後は野村にサヨナラ本塁打を打たれた。明治神宮大会では静岡の好左腕池谷(2年)が三回までに3死球と乱れ、福岡大大濠の右腕三浦(2年)も清宮に4四死球を与えた。
打線では野村の存在が大きい。昨秋の清宮は3番に座り、11試合で打率4割1分2厘、5本塁打、14打点。野村は4割5分9厘、4本塁打、18打点。清宮を避ければいい、というわけにはいかない。
ペースをつかめない相手をよく見て、慌てずに勝機を待つ。和泉監督に「これまでなかなか見たことがないチーム。秋の段階で、まるで最後の夏だというように腹を据え、チームが一つになって戦えた」と言わせるまでになった。(坂名信行)