キャッチボールで体を動かす福岡大大濠の選手たち
■選抜高校野球 話題校
26年ぶりの甲子園が迫るというのに、2月は定期試験のため10日間、完全に練習を休んだ。「日ごろの結果が甲子園ですから。日ごろを変えてはいけないでしょう」と福岡大大濠の八木監督。
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照明つきの野球専用グラウンドはある。けれども平日の練習は2時間半程度。昨年、連覇した九州大会や夏の福岡大会の登録20人は全員が県内中学出身だ。これまで春夏3回ずつ甲子園に出場し、「おおほり」で親しまれる私学は、どこか公立っぽいところがある。
元銀行員の八木監督は、じっと選手を見る。食事の量を学食の人に取材したことも。機を捉えて刺激する。それは声かけであったり、守備位置の変更であったり。今回はそのコンバートに選手が見事に応えた。
昨夏の初戦敗退後、強肩の古賀は遊撃手から未経験の捕手に移った。「成長したい一心」と古賀は奮起。遊撃には、外野のレギュラーを外されていた久保田が入った。「これでだめなら終わりといわれた。やってやろうと思った」。コーチも務める主将の亀井は「監督は久保田の気持ちの強さを考えてくれた」という。
2人は夏、10日間で17連戦を出ずっぱりという荒行で鍛えられた。普段は「短時間で集中」を掲げるが、肝心なのはメリハリ。必要なら追い込む。エース三浦の制球力はずば抜けており、古賀も配球の勉強はしやすかった。三浦を支え、昨秋の九州、明治神宮両大会6試合で4完封。バッテリーの息はぴったりだ。
明治神宮大会は明徳義塾(高知)を破り、注目の早稲田実(東京)に負けた。選手は口々にいう。「もう一度やって勝ちたい」。4番の東などは九州大会から打点ゼロで「甲子園は悔しさを晴らす場所」と息巻いた。その不発ぶりは、チームが余力を秘めているとも取れる。さまざまな思いがない交ぜになり、意気が上がる。(隈部康弘)