今年1月に完成した食堂で、朝食の中国がゆを食べるベトナム人のグェン・ティ・レさん(右)。「今までで一番ベトナムの味に近いよ」=大阪市生野区
大阪市生野区にある留学生寮「アジアハウス」が今春、開館から25年を迎える。夢を抱いて来日したのに行き場がみつからない留学生を支援しようと、ボランティアらが協力して建てた1棟の寮はいま、3棟に増え、日本語学校もできた。地元に根ざし、約1千人を受け入れてきた国際交流の現場を訪ねた。
■食堂は民家を改装
朝8時半、生野区の住宅密集地にある「海風(うみかぜ)日本語学舎」に自転車に乗った留学生がやってくる。向かいの民家を改装した食堂でまずは朝食。ベトナム語や中国語のおしゃべりが響く。「うちは朝ご飯が必修科目やからね」。辻本慶子代表理事(65)が目を細めた。
学校を運営するのはNPO法人アジアハウス。5カ国の52人が区内の三つの寮から通う。活動は約30年前、「留学生に住む場所を」という辻本さんの思いから始まった。
区内の保育園で働く辻本さんは1988年、同僚らと寮の建設準備会をつくった。当時、政府の方針で留学生が増える一方、アパートの入居拒否や住環境の悪さが問題になった。勤務先の園には在日コリアンの子が多く、留学生と交流したいとの思いもあった。
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