（１２日、ＷＢＣ２次リーグＥ組 日本８―６オランダ）

５時間近い熱戦は、日付が変わる直前に終わった。十回まで決着がつかず、十一回からは無死一、二塁から始まるタイブレーク。日本は鈴木の犠打で１死二、三塁とし、中田が高めの球を力ずくで左前へ運んだ。２者が一気に生還した。

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打席に入る直前、バントを決めた鈴木が「後は頼みました」と、耳打ちしてきた。親分肌の２７歳は「先輩として意地でも打つ」と、決意した。一塁は空いていたが、相手は勝負を挑んできた。二重の意味で意地の詰まったスイングだった。

中田は三回にも、左翼席に３ランを打ち込んだ。１次リーグの豪州戦、中国戦に続く３試合連続本塁打。相手は先発のソフトバンク・バンデンハークだった。過去２季で１８打数４安打と分が悪く、「割り切ってホームランだけを狙った」。第１回大会の多村、今大会の筒香の２試合連続を上回り、日本選手ではＷＢＣ新記録となった。

この試合、再三強打のオランダ打線に追いつかれた。救援陣も踏ん張ったが、１点リードの九回も、１次リーグで抑えを務めた牧田ではなく、則本を投入して「あと１死」から追いつかれた。敗色ムードを、不動の５番が振り払った。

前回大会は野手最年少。ベテラン勢にかわいがられる存在だったが、４年が経ち日本の主軸に成長した。強敵を破り、２次リーグ突破へ前進。殊勲の背番号１３は「最後まで突っ走りたい」と威勢がよかった。（伊藤雅哉）