国技館を出る横綱日馬富士=17日午後9時25分、東京・両国、嶋田達也撮影
大相撲の横綱日馬富士(33)が幕内貴ノ岩(27)に暴行した問題で、日本相撲協会は17日、貴ノ岩側から提出された診断書の内容について、髄液の漏れはなく、頭部骨折も確認できず、「疑い」だったことを公表した。傷害容疑で捜査を進める鳥取県警は同日、東京・国技館で日馬富士から任意で事情聴取。日馬富士は暴行について大筋で認めたという。
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協会の外部理事を含む危機管理委員会(委員長=高野利雄・元名古屋高検検事長)がこの日、診断書を作成した福岡市内の病院で担当医から説明を受けた。
診断書には「#1脳振盪(しんとう) #2左前頭部裂傷 #3右外耳道炎 #4右中頭蓋(ずがい)底骨折、髄液漏の疑い」と記されている。担当医は「#4」の骨折と髄液漏はどちらも「疑い」であり、実際には起きていないと説明。「重傷であるように報道されていることに驚いている」と話した上で、誤解を招く表現だったことについては謝罪したという。
さらに、「全治2週間程度」は、暴行を受けたとされる10月下旬から2週間という意味であるとし、診断書を作成した11月9日の時点で「相撲を取ることに支障がない」と判断し、九州場所を休場するよう伝えたこともないという。
暴行を受けた後も巡業に出ていた貴ノ岩だが、結局、場所を12日の初日から休場。通常は場所前に提出する診断書を2日目の13日に提出していた。一方、鳥取県警には10月28日に受診した広島市内の病院で作成された「前頭部のけがで全治10日」という症状の軽い別の診断書を出している。
捜査関係者によると、日馬富士は拳とカラオケのリモコンで殴ったとみられるという。県警は貴ノ岩のほか、現場に居合わせた関係者からも当時の状況などを聴いている。