3月28日、米議会内で記者団に追いかけられる下院情報特別委員会のニューネス委員長=AP
昨年の米大統領選にロシアが介入したとされる問題で、トランプ大統領側の関係者が関与した可能性を調査している米下院情報特別委員会のニューネス委員長は6日、調査から一時的に外れる考えを明らかにした。ニューネス氏はトランプ氏寄りの言動を繰り返したとして、民主党などから中立的な調査に支障が出るとの批判が高まっていた。
トランプ氏が勝利した大統領選をめぐっては、ロシア側がサイバー攻撃などで介入したとされ、トランプ氏陣営が自らに有利になるよう関与した疑惑がある。一連の調査はニューネス氏の言動で混乱が続いていたが、同氏が身を引いたことで再開に向かいそうだ。
情報特別委が調査を進めるなか、ニューネス氏は3月、米情報機関がトランプ氏らの通信を傍受していたケースがあったとトランプ氏に報告。「オバマ前大統領に盗聴された」と訴えていたトランプ氏の主張を後押しする形となった。
民主党側は「情報特別委への報告前にトランプ氏に機密情報を伝えた」と批判。ニューネス氏が事前に、ホワイトハウス敷地内で通信傍受について情報提供を受けていたとの報道もあり、同氏の中立性への疑念が高まっていた。
ニューネス氏の言動については今後、下院倫理委員会で調査が進む見通し。同氏は6日の声明で「全くの虚偽で政治的な意図がある」として、中立性を逸脱したとの指摘に反論。そのうえで「倫理委の調査が続く間は、ロシア問題の指揮を(他の委員に)任せることが議会の利益になると確信する」とした。(ワシントン=田村剛)