20年前に人質事件があったペルー日本大使公邸を再現した建物の前で20日、元特殊部隊員一人ひとりに勲章が授与された=リマ、田村剛撮影
日本人ら72人が127日間にわたって左翼ゲリラに拘束されたペルー日本大使公邸人質事件の武力突入から22日で20年となるのを前に、首都リマの軍施設で20日、記念式典が行われた。人質の救出作戦に関わった元特殊部隊員や軍幹部ら約200人が出席し、事件後初めて一人ひとりに勲章が授与された。
式典会場は、当時の公邸を実寸で精巧に再現した建物の前。突入訓練のために建設され、現在は博物館として使用されている。式典にはクチンスキー大統領やニエト国防相のほか、当時の作戦を指揮したフジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏も参列した。
クチンスキー氏は「作戦成功によって人質が救出されただけでなく、(テロの脅威に直面していた)ペルーが救われた。テロを葬る棺おけに最後の釘を打ち込んだ」と功績をたたえた。
事件は1996年12月17日夜に発生。左翼ゲリラのトゥパク・アマル革命運動(MRTA)が、天皇誕生日のレセプション中だったリマの日本大使公邸を襲撃し、青木盛久大使(当時)や各国要人らを人質に取った。翌年4月22日に軍が突入。人質1人と特殊部隊員2人が死亡したが、71人の人質が解放された。ゲリラは14人全員が射殺された。(リマ=田村剛)