米ワシントンで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は21日閉幕し、世界経済の成長に向けた自由貿易の重要性を大筋で確認した。世界経済は上向きつつあるものの、下ぶれリスクもあるとして、構造改革の重要性なども確認した。
議長国ドイツのショイブレ財務相は閉幕後の記者会見で、「自由貿易は世界の成長にとって良いという方向で幅広い合意があった」との見方を示した。3月にドイツであった前回のG20から時間がたっていないことから、議長国の判断で共同声明の作成は見送った。
世界経済については、先進国、新興国ともに上向いているものの、シリア情勢やフランス大統領選を控え、政治、地政学リスクなどの下ぶれ要因があるとの見方を共有した。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見で「足元のリスクとして、米国や中国の経済政策の不確実性が存在している」と話した。
また、トランプ米大統領が保護主義的な政策を掲げるなか、格差解消のために「包摂的な成長」を目指す方針も確認した。独連邦銀行のワイトマン総裁は「格差があると開かれた市場に消極的になる」として、教育の重要性などを訴えた。
前回の会議で採択した共同声明からは、米国の主張で「保護主義に対抗する」という従来の文言が抜けた。「反保護主義」の文言の扱いについては、7月初めにドイツ・ハンブルクで予定されているG20首脳会議での判断に委ねられた。(ワシントン=福山亜希、五十嵐大介)