夜、巣穴へ戻ろうとするオオミズナギドリ。地面を歩く姿はぎこちなく、ネコに襲われやすい=2016年10月20日午後8時過ぎ、東京都御蔵島村、中山由美撮影
東京・伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)でオオミズナギドリが激減している。島は世界最大の営巣地だが、繁殖数は約10年で9割近く減ったことが環境省の調査でわかった。増え過ぎた野ネコの影響が深刻化している。
都心から南へ約220キロ。面積約21平方キロの小さな御蔵島は海岸に崖がそびえ、深い原生林が広がる。3月、オオミズナギドリが飛来する。昼間は海でイワシやイカを狙い、夜は森へ戻る。地面に横穴を掘って卵を産み、ヒナを育てる。
長年調査で通う山階鳥類研究所の岡奈理子上席研究員と森へ入ると、翼と骨が転がっていた。「こんな姿をよく見る」と岡研究員は嘆く。頭をちぎられた成鳥、巣穴からひきずり出されたヒナの死骸。ネコのふんから羽毛も見つかった。
環境省生物多様性センターの昨年の調査で、巣穴の総数は推定約224万で、繁殖に使われていたのはわずか2・6%の約5万8千。繁殖数は推定11万7千羽だった。1978年には推定で最大350万羽いたが、2007年は約101万羽、12年は約77万羽と極端な減り方だ。
主な原因は野ネコ、ネズミの影響も一部ありそうだ。監視カメラで調べたところ、人口約300人の島で、野ネコは千匹を超える可能性もある。犠牲になるオオミズナギドリは年間で少なくとも成鳥が1万8千羽、ヒナは2千羽という。
御蔵島村では野ネコ約430匹…