大阪府警は8日、昨年12月から行方不明になっていた大阪府茨木市の生後8カ月の男児について、育児放棄(ネグレクト)につながる恐れがあるとして名古屋市で保護し、児童相談所(児相)に通告した、と発表した。府警は今年4月に児童虐待対策室を設置し、情報があれば府外にも捜査員を出して捜す方針を決め、今回が初の事案だった。
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児童虐待対策室によると、男児は母親(25)と一緒に茨木市の母親の実家にいたが、昨年12月25日に別居していた父親(31)が訪れ、母子を連れて出て行った。不明になる前の4カ月時の健康診断を受けておらず、市が実家への訪問を続けていたが、所在がわからなくなり児相に連絡。男児の祖母は3月16日、茨木署に行方不明者届を出した。
児童虐待対策室は、親子3人が愛知県内のビジネスホテルを転々としているとの情報を得て捜査員を派遣し、愛知県警と連携。名古屋市の飲食店で約7万円を盗んだとして父親を捜していたところ、今月6日、同市内で発見した。愛知県警が窃盗容疑などで逮捕し、大阪府警が近くの路上で母親と一緒にいた男児を保護した。通告を受けた児相は、生活苦で育児放棄につながる恐れがあるとして、男児を府内の施設で保護した。
府警が昨年、児童虐待の疑いで児相に通告した18歳未満の子どもは8536人で、3年連続で全国最多だった。