韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、就任後初の週末となった13日、韓国メディアの記者約60人と一緒に大統領府の裏手にそびえる北岳山(プガクサン)に登った。文政権が力を入れる「意思疎通する大統領」のアピールの一環。文氏が側近を務めた盧武鉉(ノムヒョン)政権のメディア対策の失敗も意識しているようだ。
大統領府によると、文氏は大統領選挙の担当記者たちを誘い、約4・4キロのトレッキングコースを歩き、一緒に昼食を取った。韓国では登山は重要な社交の場で、政治家やビジネスマンらが付き合いを広げるためによく行く。登山には任鍾晳(イムジョンソク)秘書室長らも同行。韓国メディアによると、文氏は国政運営の方向や人事などについて記者たちと和やかに話したという。
文氏が大統領秘書室長を務めた進歩(革新)系の故盧武鉉元大統領は、新興ネットメディアを優遇する一方、同政権に敵対的な保守系の有力紙・朝鮮日報、東亜日報、中央日報の三大紙と徹底した対決姿勢をとり、政権運営が厳しくなる一因となった。文氏は今のところ特定メディアを優遇する対応はとっていない。一方、朴槿恵(パククネ)前大統領は記者と対話することはほとんどなかった。(ソウル=武田肇)