在韓米軍が高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の発射台を韓国内に追加搬入したものの、文在寅(ムンジェイン)大統領に報告が届いていなかった問題で、韓国大統領府は1日、韓民求(ハンミング)国防相と金寛鎮(キムグァンジン)前大統領府国家安保室長を事情聴取したと発表した。韓氏と金氏は朴槿恵(パククネ)前政権の安全保障政策ラインの中心人物。文氏は報告不備問題の真相調査をてこに、両氏の影響力を払拭(ふっしょく)する狙いとみられる。
一方で、文氏は31日、訪韓中のダービン米上院議員(民主党)と面談し、朴前政権が米国と合意したTHAADの韓国配備について「前政権の決定ではあるが、政権交代したからと言ってその決定を軽く考えない」との考えを伝えた。
そのうえで、自らが指示しているTHAAD関連調査はあくまで「国内的措置」とし、「既存の決定を変えたり、米国に別のメッセージを伝えたりすることではない」と強調した。
文氏は大統領選でTHAAD配備の見直しについて言及し、就任後は環境影響評価や国会での議論の徹底を表明している。一方で6月下旬にトランプ米大統領との初の首脳会談を調整しており、米韓関係を悪化させたくないという考えがある。(ソウル=武田肇)