佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が26日朝、岡山県倉敷市の料理旅館・鶴形(つるがた)で始まり、午後6時32分、佐藤名人が49手目を封じて1日目を終えた。持ち時間各9時間のうち、名人が3時間52分、挑戦者が4時間11分を消費。翌27日朝に再開され、夜までに終局する。これまでに2勝2敗のタイで迎えており、本局に勝った方が名人位獲得まであと1勝に迫る。
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26日午前9時、立会人の福崎文吾九段が開始を宣言。先手の佐藤名人、後手の稲葉挑戦者とも角道を開ける出だしから戦型は第1局と同じ「横歩取り」に進んだ。
序盤、名人が飛車を高い位置に置いたまま早々に桂馬を繰り出す積極的な布陣を敷いた。ここで挑戦者が角交換に踏み切り、難解な中盤戦に突入した。
攻勢を強める名人に対し、挑戦者は角を見捨てて頑強に受けた。飛車取りに△4三金右としたところで封じ手となった。解説の山崎隆之八段は「名人ペースと思いきや、挑戦者も堂々と受けて立っている。強気に攻め続けるか、封じ手からの名人の方針に注目したい」と話した。(深松真司)
〈指し手〉先手・佐藤名人 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲6八玉△2二銀▲3六歩△8二飛▲3七桂△8八角成▲同銀△3三銀▲8三歩△同飛▲8四歩△8二飛▲3五飛△8四飛▲7五角△8二飛▲4五桂△4四角▲8四歩△5二金▲3三桂成△同桂▲3四飛△5五角▲4六銀△6四角▲6六角△4四歩▲5五銀△同角▲同角△4三金右