エスカレーター1基が上りから下りに切り替わった祇園駅=福岡市博多区
「階段は上りより、下りの方が怖い」。そんなお年寄りの声に応え、福岡市営地下鉄で下りエスカレーターが増えている。超高齢化社会をみすえ、他都市の駅でも対応が始まっている。
福岡市営地下鉄は、2005年開業の七隈線では全駅に上下のエスカレーターがある。だが、空港線と箱崎線の計19駅では、博多などの主要5駅を除くと、これまでエスカレーターが2基以上ある場合もすべて上りだった。
エレベーターは各駅にあるものの、待ち時間が長く旅行者らで混雑しやすい。市はお年寄りらから寄せられる「下りのエスカレーターがほしい」という要望を受け、15年12月に赤坂駅(福岡市中央区)で、試験的に2基のうち1基を下りに切り替えた。
モニター123人への調査では「利便性が向上したか」という問いに56%が「そう思う」と答え、「思わない」は6%。エスカレーターの一部を下りに切り替えることについては、76%が「よいと思う」と回答した。
市は今年2~3月、大濠公園駅(中央区)や祇園駅(博多区)など5駅で、上りエスカレーターが2基あれば1基を、4基あれば2基を下りにした。祇園駅のホームで男性会社員(40)に尋ねると、「上りの方が便利だけど、ひざが悪い人は下りがつらいだろう。二つあるなら上りと下り両方あった方がいい」と話した。
市交通局施設課の横谷英範課長は「高齢化社会が進み、下りがつらい人は増えてくる。スーツケースを引く外国のお客様も増えており、ユニバーサルデザインの観点からも時代に即していきたい」と、他の駅でも順次、切り替える予定だ。