移送のため伊丹空港に到着した大坂正明容疑者=7日午後0時29分、大阪府豊中市、矢木隆晴撮影
1971年に過激派・中核派の学生らが警察官を殺害した渋谷暴動事件で、指名手配されていた大坂正明容疑者(67)が一時かくまわれていた東京都北区のアジトから、警察幹部の私用携帯電話の一覧表が見つかったことが捜査関係者への取材で分かった。盗聴器もあったといい、警視庁はアジトで盗聴を試みていた可能性があるとみている。
逃亡46年の大坂容疑者、無言の出発 警視庁へ移送
同庁公安部は7日午前、渋谷暴動事件に絡む殺人など五つの容疑で大坂容疑者を再逮捕し、発表した。大坂容疑者は5月の逮捕後、名前も名乗らず黙秘を続け、取り調べにも「お茶を下さい」などと発する程度だった。7日に逮捕状を執行された際も無言だったという。大坂容疑者はこの日、捜査員に付き添われ、大阪府警大淀署を出てワゴン車の後部座席中央に座った。黒縁の眼鏡をかけ、顔を上げて正面を向いていた。
北区の中核派アジトは賃貸住宅で、警視庁は、ゲリラ事件や内偵活動の拠点とみていた。捜査関係者によると、大坂容疑者は2007~08年に潜伏していた可能性が高いという。公安部が16年1月、このアジトを有印私文書偽造・同行使容疑で捜索した際、室内から警視総監や警察庁長官経験者のほか、警察庁の局長や課長ら100人前後の私用携帯番号が記載された一覧表が見つかった。公開されていない自宅の固定電話番号も含まれており、盗聴器も見つかった。いずれも押収したという。
また公安部は複数のアジトの捜索で、大坂容疑者が逃走を継続する決意を示した文書を押収。中核派は13年元日付の機関紙で「長期指名手配と不屈に闘う同志を守り抜く」としており、公安部は、大坂容疑者が組織的な支援を受けながら逃走生活を続けていたとみている。