お笑いや文学について語る又吉直樹さん=13日、上海市内、冨名腰隆撮影
お笑い芸人で作家の又吉直樹さんが13日、初めて訪問した中国・上海で講演し、「海を越えても文学やお笑いを通じてわかり合えると感じた。いつか中国でお笑いの舞台にも立ってみたい」と意欲を語った。
又吉さんの芥川賞受賞作「火花」の中国語版は、前日に刊行されたばかり。中国では、ほかにも日本人作家の文学作品が数多く翻訳され、村上春樹さんや東野圭吾さんなどが若者を中心に人気がある。
「火花」の翻訳を担当した神戸国際大の毛丹青教授が「文化は瞬時に口コミで広がる時代になった」と述べると、又吉さんは「(日本からの距離が)近いことに驚いた。時々ここに来て、作品に生かすこともできる」などと初訪中の感想を語った。
上海は芥川龍之介が1921年に訪れ、紀行文を書いた場所でもある。今回、書店サイン会なども精力的にこなした又吉さんの一番の思い出は、交流会に来ていた男子学生だったという。「自分の話がみんなに伝わっているか不安だったが、彼がずっとこちらを見てニコニコ励ましてくれた。そんな優しさも発見だった」(上海=冨名腰隆)