酸素吸入のためのチューブをつけながら、落語を披露する桂歌丸さん=宮城県松島町の瑞巌寺
宮城県松島町にある国宝の瑞巌寺本堂で24日、落語家の桂歌丸さん(80)が落語会を開いた。体調不良で入退院を繰り返し、14日に退院したばかりで、鼻に酸素吸入のためのチューブをつけて高座にあがった。テレビカメラが撮影する中、よく通る声で「話すときに苦しくて、お見苦しいですが、世間には言わないでください」と、冒頭から約500人の観客を笑わせた。
体重36キロもネタに 退院の歌丸さん80歳、復帰宣言
2008年から始まった瑞巌寺の「平成の大修理」がまもなく終わることを祝うイベントの一環。歌丸さんは自らの入院体験などを話した後に、花魁(おいらん)高尾太夫と染め物職人の愛がテーマの「紺屋高尾」を披露。かつて司会をしていた人気演芸番組「笑点」の座布団運び役、山田隆夫さんの名前を重ねて、「悲惨な『たかお』もいます」とひねりをきかせた。約30分の出番が終わると、観客から大きな拍手を受けていた。
瑞巌寺は伊達家の菩提(ぼだい)寺で、本堂は1609(慶長14)年に伊達政宗によって創建された。東日本大震災の津波で、参道の約800本の杉並木が被害にあったものの、修理のために約5万枚の屋根瓦をおろしていたため、本堂への地震の被害は少なかったという。瑞巌寺全ての修理は来年終了する予定。(江戸川夏樹)